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転写開始点の正確な決定が可能になった結果、ヒト遺伝子のほとんどについて、転写開始点は、
従来考えられていたより広範囲にわたって分布することが明らかとなった。
これまでも、in vitro再構成系での主としてウィルスプロモーターを用いた実験で、
特にTATAボックスを持たないプロモーターで広範囲にわたる転写開始が観察されていたことは事実である。
しかし、そこで観察された多様でダイナミックな転写開始現象が、
実際にヒトゲノム中で行われていることを 示したのは本研究がはじめてである。
むしろ、従来、転写開始点は「点」としてみなされてきており、
ほとんどの論文では一つないし数個の転写開始点を記載するにとどまっていた。
(詳しくはEPDを参照されたい。)
すなわち多数の転写開始点が観察された場合でもそれらは見過ごされてきた場合がほとんどである。
しかし本研究により、ゲノム規模で転写開始点の決定が詳細になされるに至り、
転写開始点はむしろ転写開始領域のイメージに近く、
その領域から確率的に転写が開始されるといった機構を仮定するほうが自然であると思われるようになった。
本データベースに記載されている転写開始点の詳細な情報は、
転写開始機構に関する物理化学的な解明に有用な基礎的データを与えると我々は考えている。
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