2-1. 従来のcDNA作成技術の欠点

cDNAクローニングにおける最終目標は、完全長cDNAすなわち鋳型となるmRNAの キャップ構造からpolyA配列にいたる全ての配列を含むcDNAを単離することに他ならない。 しかし、通常の方法を用いて作成されたcDNA libraryから得られる cDNAは、 その5'端が欠失していることがほとんどである。これは逆転写酵素が途中で鋳型mRNAから 脱落したために不完全なコピーしか行われなかったcDNA、また5'末端の部分が加水分解により 失われてしまった mRNAが鋳型として用いられたcDNAが、cDNA library中の大多数を占めることに起因する。 とはいえ逆転写酵素の利用が不可避であること、またRNAが加水分解を受けやすい高分子であることを 考えればこれは避けがたい現象である。
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